知的障害の子どもの再教育について
2022/09/30
今日はフェルデンクライス博士の著書より
「知恵遅れの子どもの再教育」についてのお話をしたいと思います。
“サー・ジョージ・ウィリアム大学のエイブ・カーシュナー博士が、知恵遅れの子どもの再教育について講義をしました。
博士は、同年齢のクラスの中で、
字の書けない子どもは、直線の上を他の同級生と同じように真直ぐ歩くことができないということを、
やや驚きをこめて指摘しました。
カーシュナー博士のこのような観察は、知恵遅れという理由で家庭に閉じ込められることから、多くの子どもたちを救いました。
子どもが各指相互の力関係を感じとり、
自分の身体意識に導かれて目で見ているものを指でたどることができるようになるまでには、
数年かかります。
それができるようになるためには、
“自分の行動をプログラムする”
つまり運動を開始し、実行し、終了させて意味のあるものにすることができなくてはなりません。
だから、ある技能が他の技能より遅れて発達するとしても不思議ではないのです。
この種の学習は、起こることもあれば、起こらないこともあります。
読み書きを身につけられない子どもは、一年ごとに遅れをとり、
他の子どもたちが学習を続けながら成長するのに比べ、ますます取り残されることになります。
一般に、両親も教師も、実例をあげて模倣を強制することしか思いつきません。
このような学習方法の失敗があまり目につかないのは不思議なことですが、
それでも、一般に考えられている以上に、失敗の数は多いのです。
自分の子どものどこかに障害があることがわかり、
他の子どもたちには有効な方法が自分の子どもには役に立たないと知って苦しみを味わっている母親は少なくありません。
そういう母親は、
自分の子どもには意思が欠けているとか、
興味が足りないとか、
そういった目につく一部の真実を信じることになります。
その種の真実は、間違って事実と見なされている決まり文句に過ぎません。
彼女の子どもは「好奇心を持っていない」かもしれません。
好奇心があるのは人間でも動物でも健康のしるしです。
好奇心のない子どもは「怠けもの」かもしれませんが、
しかしそれ以上に、
身の周りの環境によって情動的に病んでいるのです。
そのような子どもに力を貸して、
目と指の動きが一致するようにさせると、
学習意欲を引き出し、知恵遅れのレッテルから救い出すことができます。
問題は単なる訓練で解決できるものではないということをみなさんにわかっていただきたいのです。
反復、努力、報酬、懲罰では解決できません。
このことは大人の方にも当てはまることです。“
この一節は、「脳の迷路の冒険」というタイトルの本からの引用で、
突然読み書きができなくなってしまった60代の女性への
フェルデンクライス博士のレッスンの様子が綴られているものです。
僕はこの一節から運動の大切さ、好奇心の大切さを改めて認識しました。
そして、学習は時間をかけて行っていくということも!
目先のことに囚われて焦らないことはとても重要ですね☆
皆さんはどんなことを感じられたでしょうか。
お子さんの見方にも当てはめて考えてみてくださいね^^